立ち退きQ&A

家賃滞納を理由とする立ち退き手続のスケジュールの目安

1 はじめに

家賃滞納が始まってからの解除通知の発送、裁判手続きの流れ、執行手続きの流れについては、別途「解除に必要な家賃滞納期間は?」「立ち退き手続きの裁判の流れ(賃料未納の場合)」「立ち退き手続きの強制執行の流れ(賃料未納の場合)」にてご説明しております。
ここでは、全体のスケジュールの感覚について検討いたします。なお、例外的な事情(内容証明が届かない、裁判所が夏休み・冬休み・春の異動時期の場合、賃借人が行方不明の場合、判決に仮執行宣言がつかない)が発生する場合がありますので、典型的な流れについて説明いたします。

 

2 内容証明郵便による解除通知の発送まで(滞納開始から60日後)

家賃滞納してから、解除が可能となる通知発生まで、居住用物件・事業用物件ともに、「60~90日以降」が目安となります。

 

3 解除通知から明渡裁判提訴まで(滞納発生から70日後)

解除通知書に、ほとんどのケースでは、「本書面が到達してから7日以内に支払が無い場合には契約を解除して、明渡を請求します」と記載します。
そのため、解除通知発送から、訴訟提訴まで「10日」くらいとなります。

 

4 訴訟提訴から判決まで(滞納発生から130日後)

賃料滞納の場合には、賃借人側に決定的な落ち度があるため、ほとんどの裁判では、訴状提出してから「60~90日以内」に判決がくだされて、裁判手続きが完了いたします。控訴などされても、第一審裁判所の判決で「仮執行宣言」が付されることがほとんどですので、控訴された裁判手続きが確定するまで明渡手続きができないわけではありません。

 

5 強制執行の申し立てから立ち退き完了まで(滞納発生から180日後)

強制執行の申し立てのためには、「明渡なさい」という判決書が賃借人に届いたことの証明が必要となります。
これを送達証明書といいます。これを申請するのに10日程度かかります。
判決がくだされても、賃借人が自主的に立ち退かない場合には、強制執行のてつづきが 必要となります。
その後、強制執行の申し立て後、10日程度で、執行官(裁判所に所属する公務員)から賃借人に対して、明渡の催告を行います。
催告から約30日を過ぎても立ち退かない場合には、実際に立ち退き手続きを行い、終了となります。
そのため、強制執行の申し立てから、立ち退き完了までは、50日程度かかります。

 

6 まとめ

以上、賃料滞納が始まってから、180日(約6か月)程度の期間が立ち退きまではかかることとなります。
一般的に弁護士に相談がなされた時期(内容証明の発送→訴訟提訴→強制執行)からすると、立ち退きまでは、約120日(約4か月)となります。
一昔前までは、滞納すると大家さんが無断でドアのカギを変えたり、無断で室内に立ち入って家財一式を外に出したりすることなどが、
行われることもありましたが、「借主の同意なく鍵を変えたり,荷物等を処分しても良いですか。」でお話したように、極めて例外的な事例を除いて、違法行為とされています。
また、家賃を滞納するほうが悪いという一般的な価値観はあっても、法治国家日本である以上、立ち退き手続きまでは少なくない時間が必要とされます。
専門家への相談が遅れれば遅れるほど、賃料滞納は増えてしまい、損失が発生してしまいますので、早急に相談が必要でしょう。

 

7 さいごに

以上の通りですので、まずは、立ち退きを考えられた場合には、お気軽にご相談いただければと思います。