立ち退きQ&A

借主の残置物を勝手に処分しても良いですか

1 はじめに

いくら賃料滞納があるといっても、オーナーは無断で立ち退き手続きができないのは、「許される立ち退き交渉と自力救済の禁止」で説明の通りです。
では、交渉の末、ひと悶着あったものの、出て行ったが、ゴミとも判別のつかない私物が残ってる場合、どのように手続きを行うべきでしょうか。無断で処分してもよいでしょうか。

2 交渉による立ち退き手続きで発生した残置物の処分

住人が立ち退いたのに私物が残っている場合があります。これを残置物といいます。
明らかに、金銭的価値のないゴミと判断できる場合には、清掃の一環として処分することには問題がないですが、例えば、引っ越しにお金がかかるからという理由で、冷蔵庫、洗濯機、応接セット、テレビなどが残されている場合があります。これらについては、一見してごみとは判断できないためその処分方法について相談をいただくことがあります。
この場合、従前の交渉経緯から、立ち退くことが合意されており、残置物の処分は一任するような合意が得られていれば、処分しても問題はないですが
立ち退き交渉でひと悶着あった場合には、対立している当事者のため、無断で処分してしまうと、あとになって、「あれは置いてでていっただけで、あとでとりに行くつもりだった」と言われたらどうでしょうか。この場合には、私物の無断処分を理由として損害賠償請求がなされるおそれがあります。そのため、価値ある残置物の場合、明確な同意が無い限り、リスクを回避するために立ち退きの裁判手続きと執行手続きを行うことをお勧めしております。

3 強制執行手続きで発生した残置物の処分

立ち退きの強制執行手続きは、別途「立ち退き手続きの裁判の流れ(賃料未納の場合)」「立ち退き手続きの強制執行の流れ(賃料未納の場合)」をご参照いただければと思いますが、立ち退き手続きでは、立ち退き手続きの範囲を決めて執行の申し立てをいたします。そのため、あくまで賃借人が占有している部分のみを執行の対象として申し立てを行うのですが、例えば、住居の場合、共用廊下に自転車や傘を置いている場合、飲食店の場合には、共用部分に鉢植えや看板を置いてる場合があります。明確には占有を特定できませんが、この場合も、「軒下執行」として、主たる部分に付属する部分に関する立ち退き手続きも執行官の判断で行われているのが実情です。
そのため、強制執行手続きでは、申し立ての範囲等を誤らない限り、執行官がすべて執行しますので残置物は発生しません。

4 さいごに

以上の通りですので、まずは、立ち退きを考えられた場合には、お気軽にご相談いただければと思います。

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