立ち退きQ&A

手続にかかる費用の総額を教えて下さい

1 はじめに

賃料滞納を理由とする立ち退きを弁護士に依頼する場合の費用についてご説明いたします。
また、弁護士に依頼せずに、立ち退き手続きをご自身でなされる場合もありますが、その場合でも、「弁護士費用」がかからないだけで、その他の、訴訟費用、強制執行に関する費用は同じようにかかりますので、ご参考にください。

2 弁護士費用

別途、弁護士費用箇所をご参照ください。

3 弁護士費用以外の費用

(1) 解除通知発送費用(内容証明郵便送付費用)

2000円(電子内容証明利用)程度。

(2) 訴訟提訴の際に裁判所におさめる費用

訴訟提訴を行う場合、裁判所に訴額(請求する経済的利益)に応じた印紙の納付と、
手続きを行うにあたって必要となる郵便切手費用をあらかじめ納付することが必要です。
また、その他、法令に基づいて必要とされる書類を準備する必要があります。

①印紙について

数万円~
具体的に印紙については、民事訴訟費用法にて定められており、例えば、1000万円の請求だと5万円、1億円で32万円の印紙が必要となります。裁判手続きは、憲法で保障された司法サービスを受ける権利ですから、不相当に高額にはなっていません。
なお、立ち退きを求める場合の訴額(印紙額)の算出方法については、「立ち退きを求める場合の訴額の計算」をご参照ください。

②郵便切手について

 6000円程度
郵便切手をあらかじめ裁判所に納付する必要があるのですが(裁判終了後に使われなかった郵便切手は返送されますし、足りなくなると追加を求められます)、全国で統一されておりません。そのため、普段、当該弁護士が利用する裁判所であれば、いくらを納付するか把握していますが、初めて裁判を起こす場合などには、裁判所に電話して、納付金額と切手の内訳を聴取する必要があります。裁判所ごとにホームページがありそこに記載されている場合もありますが、そうでない場合もありますが、比較的多い印象です。

③固定資産評価証明書、建物全部事項証明書(登記簿謄本)の入手費用

固定資産評価証明書は、数百円程度です。
建物全部事項証明書(登記簿謄本)は、1筆あたり、数百円程度です。

(3) 強制執行の申し立てに関する費用

強制執行に関する費用は、下記のとおりです。

① 送達証明書の申請費用

   150円分の印紙を裁判所に納めます。

② 強制執行申立費用(裁判所に納付する印紙額)

   1件あたり1000円

③ 強制執行申立費用(執行官に納付する金額)

 6万5000円(地域による)
執行に関する費用をあらかじめ多めに納付しておき、執行終了後に余りがあれば精算する仕組みとなっています。
建物明渡しの場合、予納金の基本額は、6万5000円です。ただし、これは物件1個、相手方1名の場合で、物件や相手方が増すごとに2万5000円が追加されます。地域により異なることもありますので詳細はお問い合わせください。

④強制執行業者(執行補助者)に支払う強制執行費用

 執行補助者といいって、執行を補助する民間の業者さんです。鍵屋、荷物を搬出する人、保管する人など様々な民間業者が絡んでチームとして立ち退きを実行します。

A 鍵屋さんへの日当・実行費用

 数万円程度
 明渡の催告を行う時、実際に明渡手続きを行う際に、鍵が変えられていることもあります。
 そのため、開錠できるように鍵屋を手配します。仮に鍵屋を手配したものの、素直に応じた場合でも
 鍵屋の出張を要したとして日当がかかります。おおよそ数万円程度です。

B 搬出業者への日当・実行費用

 10万円から数百万円!? 
執行の中で一番大きな費用となります。
立ち退きにより室内をすべて撤去して、空室とするので、引っ越し手続きを行うようなものです。さらに、通常の引っ越しと異なり、事前に梱包などされているわけではないので、極めて大掛かりな作業となります。運び出された家財一式は、倉庫に保管します。
さらに執行官は1日に何か所か回ることになりますので短時間のうちでの立ち退きが求められるため、それなりの作業員やトラックの手配が必要となるため、通常の引っ越しに係る費用とは問題にならないくらい高額となります。なお、執行官が立ち退き催告を行う時に執行補助者も同行し、執行に係る費用を見積もることが一般的ですので、いずれにせよ執行を申し立てしてからではないと確定的な費用な目安はわかりません。
搬出業者についても、鍵屋と同様に、執行日当日に賃借人が自主的に退去したとしても、出張を要したとして日当がかかることが一般的です。
目安は下記です。広さ、立地、搬入のしやすさ、エレベーターの設置など諸条件によって異なります。
    ●1人暮らしのワンルームなど:~20万円
    ●ファミリータイプ居室(3LDK):~60万円。
    ●大きめの一軒屋などの居室:~100万円
    ●事業用物件(飲食店のような設備が多い所):50万円~

C 保管業者への保管料の費用

搬出した家財一式は、一定期間、対象物件近くの倉庫に保管をします。
保管後、一定期間を経過しても、賃借人が取りに来ない場合には廃棄処分となります。
そのため、倉庫の保管に関する費用が、倉庫のレンタル費用としてかかります。これも家財の数によって異なります。なお、特殊な立ち退きでは、例えば、危険物(石油類等の原材料、産業廃棄物関係)については、特別な管理が必要となり、保管費用が高額となることもありました。

4 さいごに

以上の通りですので、まずは、立ち退きを考えられた場合には、お気軽にご相談いただければと思います。

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